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ファインセラミックスとは?簡単に分かりやすく

セラミックス材料 2022.12.05

ファインセラミックスとは?簡単に分かりやすく|セラミックスデザインラボ




天然鉱物を原料とする陶磁器・ガラスなどのセラミックスに対し、人工的な生成方法で特定の機能を付加ないし向上させたファインセラミックス。本記事ではファインセラミックスをテーマに、そもそもセラミックスとは何か、そしてセラミックスと金属・樹脂との違いという基礎的な内容から概説します。



セラミックスとは?



セラミックス(英語:ceramics)とは、非金属の無機原料を調合、成形、焼成した材料、もしくは製品(窯業製品)の総称です。 金属材料、高分子材料(プラスチックやゴム等)と並び”三大材料”の一角をなし、身近な物で言えば、ガラスや陶磁器、セメントなどがセラミックスの一種にあたります。



人類とセラミックスの歴史は金属よりも圧倒的に古く、15,000年以上も前に遡ります。食物の煮炊きや貯蔵用に作られていた土器が最初とされ、その後、焼成技術の発展とともに陶器・磁器を獲得しました。19世紀に入ると、ガラスやセメント、耐火物などの工業用セラミックスの開発・量産化が実現。続く20世紀には、原料の高純度化・組成の操作・製造プロセスの技術革新を背景に、機能性を飛躍的に向上させたファインセラミックス(詳細は後述)が登場しました。同時期に普及し始めたエンジニアリングプラスチックとともに、世界中の材料メーカーが素材開発に積極的に取り組むようになり、今日まで続いています。



セラミックスと金属、樹脂(プラスチック)の違い

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セラミックスと、金属、そして高分子材料の代表である樹脂(プラスチック)をまとめて三大材料と称することがあります。これらの違いは何でしょうか?金属・樹脂と比較した際の、セラミックスの優れた特性を以下に示します。

 

 

    • ・高硬度
    • ・耐摩耗性
    • ・耐摩耗性
    • ・耐熱性
    • ・熱膨張係数(熱膨張率が小さい)
    • ・寸法安定性
    • ・絶縁性
    • ・耐食性
    • ・耐薬品性
    • ・化学的安定性

このように多くの特性をもつ一方で、


      • ・脆性
      • ・加工性
      • ・熱衝撃破壊特性

 

      といった欠点も持つため、取り扱いに注意が必要な場合もあります。

       

      セラミックス、金属、樹脂の違いをまとめると、下表のようになります。

      (※セラミックス、金属、樹脂すべてに当てはまるわけではありません。あくまで傾向を示した表になります)

      セラミックス 金属 樹脂
      硬度
      剛性(ヤング率)
      耐摩耗性
      耐熱性
      熱膨張係数 〇(低い) ✕(高い)
      寸法安定性
      絶縁性
      耐食性
      耐薬品性
      脆性 ✕(脆い) 〇(高靭性) 〇(高靭性)
      加工性(成形性・成型性)
      熱衝撃破壊特性

       

       

      ファインセラミックスとは?

      次に、ファインセラミックス(英語:Fine Ceramics)について説明します。 セラミックス(広義のセラミックス)は、粘土・長石など天然鉱物を原料とする陶磁器やガラスに代表されるオールドセラミックス(狭義のセラミックス)と、前述の通り、高純度に精製し且つ人工的に生成された原料に対し、化学組成をコントロールしたうえで、高度な調合・成形・焼成技術を駆使して製造したファインセラミックスとに分類されます。後者は、前者と対比してニューセラミックスと呼ばれることもあります。

      なおファインセラミックスは、さらに


          • ①エンジニアリングセラミックス
          • ②マシナブルセラミックス(快削性セラミックス)

      という2種類に細分化することができます。

      ①は、素材を成形後に高温で焼成するため、旋盤やマシニングセンタによる切削加工は基本的に不可能となり、研削加工もしくは研磨加工により仕上げを行います。 一方②は、焼成しないため切削加工でき、形状自由度が比較的高いです。但し、金属や樹脂材料と比較すると、高硬度で欠けやすく、加工性も劣ります。また、①に比べ耐摩耗性も悪いです。

       

       

      ファインセラミックスの種類

      ファインセラミックスの種類と加工における注意点について解説します。

      ここでは、ファインセラミックス=エンジニアリングセラミックスとします。 流通量が多い代表的なファインセラミックスは、以下の通りです。

            • ・アルミナ(Al₂O₃)
            • ・炭化ケイ素(SiC)
            • ・ジルコニア(ZrO₂)
            • ・窒化アルミニウム(AlN)
            • ・窒化ケイ素(Si₃N₄)

        最も流通量が多いのはアルミナで、炭化ケイ素と同様に、研削材・研磨剤、耐火材の他、半導体基板をはじめとするエレクトロニクス部品、スパークプラグ(点火プラグ)、金型材料などに使用されています。 またジルコニアは、工業用途では摺動部品や工業用カッターとして重宝されており、その他、宝飾品・装飾品や歯科治療分野において活躍しています。

        上記は材質による分類になりますが、近年、特定の機能を向上させた、もしくは付加した特殊なセラミックス材料の需要が高まっています。 特殊な機能性をもつセラミックスとしては、


              • ・多孔質セラミックス(ポーラスセラミックス)
              • ・導電性セラミックス
              • ・耐熱性セラミックス(高耐熱セラミックス)

        といったものがあります。

         

         

         

        アスザック株式会社ファインセラミックス事業部について

        「セラミックスデザインラボ」を運営するアスザック株式会社ファインセラミックス事業部は、セラミックス原料の調合、造粒、成形から、グリーン加工(生加工)、焼成、二次加工、検査・洗浄までを一貫して行う、ファインセラミックスの総合メーカーです。

         

        「ファインセラミックスの先駆者として先端技術の発展に貢献し続ける」ことをミッションに定め、半導体ファウンドリ、電子デバイスメーカー、装置メーカー向けに、40年以上にわたりウエハ搬送ハンド、トレー、基板などのセラミックス製品を多数製作してまいりました。 その過程で培ったセラミックス材料に関する知識や設計・加工のノウハウ、そして手のひらサイズから長さ4,000mmの大物・長尺物まで高精度・高品質を実現可能な設備群と品質管理体制を駆使し、様々な用途・形状・材質のセラミックス製品をお客様にお届けしております。

         

         

        ファインセラミックス製品の事例

        アスザックが過去に製作したファインセラミックス製品をご紹介します。

         

        ①ドライエッチング用 SiC製 ウエハートレイ(ザグリ穴タイプ)

        こちらは、4インチウエハを載せるSiCトレイです。

        Φ230×2tの形状に、3個のウエハを載せることができます。ウエハを載せる部分は、ザグリ穴の形状です。当社のマシニングセンターを使用して、Φ102、深さ0.82の穴加工を行いました。

        >>詳細はこちら

         

        ②8インチウエハ吸着用 ベルヌーイハンド(LeviZac®)

        こちらは、8インチ用のベルヌーイハンドです。

        当社のマシニングセンターを使用して、ハンドの厚み2mm、ガイドを含めて総厚2.5mmで加工しています。噴き出し穴は3個あり、Φ0.5、30°、5.1ピッチでの斜め穴加工を施しました。

        >>詳細はこちら

         

         

         

        ファインセラミックス製品の特注製作なら、アスザックにお任せください

        いかがでしたでしょうか。 本記事では、セラミックス・ファインセラミックスについて基礎から詳しく解説いたしました。他にも、様々な技術情報を発信しておりますので、ぜひご覧ください。 アルミナや炭化ケイ素、多孔質セラミックスなどファインセラミックス製品の特注製作をご検討の際は、アスザックにお任せください。

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